印刷における「オフ」(2)〜ウォーターレス・オフ〜
印刷業界で近年「水なしオフセット」が注目を浴びています。これは「ウォーターレス・オフセット」のことで、「乾式平版」ともよばれています。この方法のメリットは、湿し水を使わずに印刷できることです。シリコンなどのインキ反発性物質を刷版上の非画線部に形成することにより、画線部だけにインキが付着します。
オフセット印刷は湿し水を使うため、技術的に混乱が多く管理しにくい技術でした。そのためオフセット印刷のオペレータは熟練を要するものとなりました。印刷機メーカーは、「自動版替装置」や「インキプリセット・システム」、「キーレス・オフセット」などの開発の他に、「自動湿し水コントロール装置」の開発など自動化に取り組んでいるが、印刷技術者にとって「水なしオフ」は長年の夢でもあったようです。
この他の乾式には、「ドライ・オフセット」方式があります。これも湿し水を使わないオフセット印刷ですが、刷版は「凸版」を使います。まれに「ドライオフ」と「水なしオフ」とが混同されているが、ドライオフは「凸版のオフセット」です。凸版からブランケットにインキを転移し、ブランケットから紙に転写するオフセット方式です。
水なしオフセット印刷の版材としては「亜鉛」「黄銅」「マグネシウム」などの資材が用いられます。オフセット印刷に比して、湿し水を使わないため版持ちが良く、色調や見当などの印刷機上の安定性が良いなどの理由から、紙器印刷や証券類の地紋印刷などに使われています。