印刷に使われる「紙」の話
紙には「目」と呼ばれるものがあり、「縦目」と「横目」の2種類があります。平判紙で長辺が繊維の流れ方向のものを縦目の紙といいます。紙の繊維の流れに対して、直角方向のものを横目の紙と呼ばれます。一般的に横目の紙は縦目の紙に比較して伸縮が大きく、強度的にも弱いようです。
紙の目の問題は製本にも関係し、それゆえ印刷にも大きく関係します。本の背の方向が縦目になった方が上質といわれています。。逆目(横目)の紙を使うと、ノドにシワが生じたり開きにくい本になります。A5判やB5判の本に仕上げたときに、背の縦目方向になるようにA全版の紙は「縦目」に、B全版の紙は「横目」になっているのが普通です。
次に紙の厚さについて。洋紙の厚さ、薄さを表す言葉に連量がある。連と呼ばれています。昔は売買する大きさの紙の500枚を重量ポンドで表していましたが、メートル法採用以降は、1000枚の重量をキログラムで示すようになりました。ポンド単位のものをポンド連量と呼ばれ、キロ単位のものはキロ連量と呼ばれています。
枚葉紙(平判紙)の大きさは、日本ではA判・B判が多く使われていますが、菊判・四六判などもある。A列判は菊判系統で、B列判は四六判系統です。
印刷に使われる「インキ」の話
印刷に使うインキの種類は非常にたくさんあります。インキを作るための原料は1万種類に近いといわれています。これら多種類のインキはさまざまな特性をもち、印刷される素材や印刷方法、版式により最適なインキを選び印刷に利用されます。
印刷インキは各印刷版式によって異なりますが、オフセット印刷に用いるインキを「オフセットインキ」といいます。活版印刷用は「活版インキ」といい、グラビア印刷用を「グラビアインキ」という。
オフセットインキは、簡単にいうとフェノール樹脂、アルキッド樹脂、植物油などからなるビヒクル(印刷面に顔料を転移・固着する液状成分)に、耐水性の強い顔料(色素)を混ぜて作ります。平版方式では、網点再現を良くするために高粘度が望ましいが、印刷機は多数のインキローラをもっているため機上の安定性が重要になります。
印刷インキは、カラー印刷でも基本的には、クロ、イエロー、シアン、マゼンタの4色である。その他に色を補ったり特色を出したりする数多くの色があり、それらの色が顔料によって決定されている。顔料は化学的に合成される有機顔料と、カーボンブラックなどの鉱物性の無機顔料が使われている。