印刷における「オフ」(1)〜ウエット・オフ〜
オフセット印刷方式は平版に湿し水を用いる印刷方式です。つまりインキと水が反発する特性を利用した印刷方式で、これを「ウエット・オフセット」といいます。多色印刷機で2色以上を連続的に印刷すると、1色の印刷直後まだそのインキが乾かないうちに次の色を重ねて印刷してしまいます。これがいろいろな印刷トラブルを起こす原因にもなっています。まず乾燥の問題があります。4色カラーを枚葉オフセットの4色機で印刷する場合、クイックセット・インキを用いても片面印刷後はベトツクので、裏面の印刷のために最低30分位は空気中に放置する必要があります。そのため印刷枚数にもよるが、両面印刷が終るまで最低1日〜2日を要します。 そこで高価であるが、両面4色同時に印刷可能な4色両面印刷機(8ユニット)が利用されることもあります。
普通の4色機でも片面4色と、両面2色×2色、両面3色×1色など、両面刷り可能な機種がある。両面2色を2回通しで両面4色印刷が可能であるが、2色機による4色印刷と同様に、色調や濃度管理に難しさはあるが生産効率はよいです。多色印刷の場合、2色機でも多色機でも色の印刷順序があります。これを「刷り順」というが、ウエット・プリンティング方式は、「水なしオフ」や「ドライオフ」に比して、後色が乗りにくいという問題があるために、4色を2色機で印刷する場合と、4色機で印刷する場合では刷り順を考慮する。また2色機で印刷する場合は、色調を管理するために2色の「分色校正刷り」が必要である。
近年DTPが普及してから、4色(プロセス・カラー)のことを「CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、クロ)」という言葉が使われているが、昔は「YMCK」と呼んでいました。いつから「Y(イエロー)」と「C(シアン)」の順序が入れ替わったのか不明ですが、これは印刷の刷り順をあらわします。
かつて黄インキは不透明であったことや黄版の網点面積が一番多いことから、「Y(黄)」を先刷りする方法がとられました。これは色の濃度チェックが容易であること、黄色の後刷りによる色の沈みを避けられる、などが主な理由です。なお現在では、黄インキの透明度が高くなったので、2色機での刷り順は、「CM」・「YK」、「CM」「KY」が無難な方法とされています。